ただ、名前を呼んで

「……だ。」

「何だと?」

「嫌だ!!」


そう叫んだと同時に僕はその傲慢な祖父に掴みかかっていた。

熱くなってはダメだ。
駄々をこねる子供のように見られてしまう。
もっと、冷静にならなきゃ。

頭の隅では自制する言葉が回るのに、僕の衝動はどうにもならなかった。


「勝手な事言うな!」
「そっちが帰れ!」
「都合良すぎるんだよ!」


次々と溢れだす言葉。
僕が大人に対してこんなに暴力的に歯向かう時が来るなんて、想像もしなかった。
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