12 love storys
俊樹のベッドに
横たわり、
まだ冷めやらぬ
心と体の熱を落ち着けようと
している私。

俊樹は肩肘を付き、
もう片方の手で
私の髪をさっきから
くるくると弄っている。

こうされるのは
なんかくすぐったいけど
嫌じゃない。

「ねぇ?
もうすぐ
俊樹のお誕生日だね?
ご挨拶にいく頃には、
初雪が降るかしら?」

「どうだろ?
僕が子供の時より、
年々遅くなってるけどね。」

「そうなんだぁ……。
じゃあ、
雪虫も見れないかなぁ。」

「なに、
まだ雪虫のこと
言ってるの?」

「だって、
今日、本屋さんで
″雪虫″っていうタイトルの
本を見つけて、
こんな綿みたいな
虫がいるんだぁって。
可愛いなぁって。
見てみたいなぁ、
手なんかに乗せてみたいなぁって。」

「あのさ、」

「なに?」

「アブラムシ」

「へっ?」

「だから、
アブラムシの仲間だけど。
雪虫って。」

「アブラムシ……」

「まぁ、見た目は
ただのコバエだよね。
卵なんかうじゃうじゃうじゃ……」















うぎゃぁ~~~~っ!











そんな事は露知らず、
雪虫は
今日もふぅわり
ふぅわり、
風よ吹くなと、
雪を知らせに、
自由気ままに
飛んで行くのです。











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