12 love storys
玄関入って直ぐにある
キッチンの壁に押し付けられ
顔の横には山川の腕があって
完全に自由を奪われる形で
唇は何度も重ねられた。

静かなキッチンに
二人の唇を重ねる音だけが響く。

そして
山川の右手が
私のブラウスのボタンに触れたときーー

「ん、ねぇ……」

一瞬、唇が離れた隙に声を出す。

「なに?」

唇は離して貰えたものの
山川の手はブラウスのボタンに
かかったままだ。

「えっと……その……」

だって……
付き合ってから1ヶ月。
ずっとキスすることもなかったのに
今日に限ってなんで
こんなにもがっついてるの?

って
聞けないよ……。







「あっ、悪ぃ……。」

漸く私の困惑顔に気づいた
山川はゆっくりと離れようとした。
けれどーーー

「なぁ?
なんで袖引っ張ってんの?」

私は何故か山川が着ているシャツの
袖を引っ張っていた。
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