上司のヒミツと私のウソ
「気が変わったんでしょーよ。うわさのこととかあって……面倒くさくなったとか、愛想が尽きたとか、手に負えなくなったとか。とにかく、どうあっても私を企画部から追い払いたいみたい」


 膝に額を押しつけたまましゃべっていると、どんどんみじめな気分になってきた。

 だからって、あんなことしなくても。


「もう一回話し合ってみたら?」

「絶対に嫌」

「企画部に残りたいんじゃないの」

「残りたいけど、矢神とは二度と話したくない」

「……なんかあったの」


 思い出すと一生浮上できなくなりそうだった。

 私はダンボールにめりこんだお尻を持ち上げて、勢いよく立ち上がった。


「私を厄介払いするために、ものすごく、ものすっごく卑怯な手を使ったのよ」

「どんな?」

「……とにかく、信じられないくらい卑怯きわまりない手よ」


 どうしてあのとき、むざむざ矢神の挑発に乗ってしまったのだろう。
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