俺様の熟した恋の実~10years~
テーブルの前で立つあたしに、ママは今までに見せたことないような真面目な顔を見せた。
「羽音。ママから重要な話があるの」
「重要な話って?」
「ママね、今すごく大切な人がいて……。その人と再婚するつもりだから…」
「再婚……。で?」
再婚についてはそこまでびっくりしない自分が不思議で。
それよりも、まだ物言いたげなママの続きが気になった。
「それで……引っ越しを考えてるの。隣街にね」
「なんで、わざわざ隣街にまで行くの?ここでもいいじゃん」
「相手の職場に近いのよ。だから3人でそこに住もうか、って……」
「そうなんだ……。あたしの学校は?」
「それが………転校することになるわ」
今なんて?
転校?
ずっと小さい頃から、ママと過ごしてきたこの街を出て転校………。