俺様の熟した恋の実~10years~
言われた先から、また一つため息。
苦笑する雪花ちゃんの目の前で、あたしのケータイが震えた。
ディスプレイには『裕紀くん』とお兄ちゃんの名前。
『今日うちくる?数学教えてやる!』
シンプルで上から目線のメールに呆れながらもあたしは返信した。
『もちろん行くー(^o^)』
涼雅の側にいても今は気まずくなるだけ。
それなら、あたしは裕紀くんのところに行ってよう……。
放課後、教職員の出入口で裕紀くんを待つ。
冷たい夏風があたしの頬をかすった。
「お待たせ、羽音。行くか!」
「裕紀くん!行こう♪」
先を歩く裕紀くんの後ろに着いて行くと、くるりと振り返った。
「このこと彼氏知ってるよな?」
「……もちろん!」
ごめんね裕紀くん………
涼雅は知らないんだ……。