最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜

月に1回、主治医の先生の診察を受けているけど、私の心臓はどんどん悪くなる一方だと言われた。そして、「手術しましょう?」と言われた。もし手術をしないと、あと一年も持たないだろうと脅かされた。


手術は二通りあると先生は言った。今までと同じ、一時凌ぎの比較的簡単な手術と、根治を目指す難しい手術。成功の確率は、僅かに25パーセントらしい。


私は、どちらの手術ものらりくらりと先延ばしにした。実はお母さんにも誰にも言ってないけど、もう手術を受けるつもりはない。これ以上体にメスを入れられるのは嫌だし、死んでも構わないと思うから。こんな体で生き続ける事に、何も意味を見出せなかったから。


そんなある日、私は会社で彼を見た。彼を最初に見た時は、中島君かと思った。でも、そんなはずないし、雰囲気はそっくりだけど、よく見れば別人だった。


時々社員食堂で見かける彼。そして私は気付いてしまった。その彼が、私の唯一の友達で親友と言ってもよい莉那に、熱い視線を向けている事に……

< 128 / 191 >

この作品をシェア

pagetop