最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
地味女にさようなら

恭子さんはそのまま入院を続け、手術を受ける事になった。そして、いよいよ手術を明日に控えたある日曜日のこと。


「寒くないですか?」

「ううん、むしろ暖かいぐらい。今日はいいお天気ね?」

「ほんとに。台風一過ってやつですかね?」


昨日は大型の台風が上陸して雨も風も凄かったが、今日は一転して穏やかで、秋晴れの爽やかな天気だ。恭子さんと俺は病室を出て、院内のちょっとした公園みたいな所のベンチに並んで腰掛けている。


「仕事は忙しい?」

「まあ、ボチボチ」

「そう? だったら明日は無理しない方が……」

「ああ、それは大丈夫です。ちゃんと予定を組んでありますからね」


明日、俺は年休を取っていた。もちろん恭子さんの手術があるからだ。恭子さんはそれを気にしているようだが、今言った通りで、事前に予定を組んでいるから全く問題ない。俺の仕事の場合は。


「それならいいけど、私は職場に随分迷惑掛けちゃってるなあ」

「その事なんですが……」


まだ言うつもりはなかったのだが、話の流れで言ってみようと俺は思った。恭子さんの、これからについてを……

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