最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
「今回だけは大目に見るけど、次からはダメだからね?」
「はい、ありがとうございます」
「でも、よかったじゃない?」
「えっ?」
主任は“コラッ”という顔をしていたのに、一転してニコッと微笑んだ。
「嬉しいでしょう? 憧れの莉那ちゃんから誘われて……」
「は、はい。それはもう、めちゃくちゃ嬉しいです」
もう主任に俺の気持ちはバレてるから、俺は正直にそう応えた。しかし、
「でも、どうせ事務的な話だと思うんですよね。あるいは何か頼み事とか……」
と謙遜じみた事を言い、無理して何でもないような顔を俺はした。内心は踊り出したいぐらいなのだが、敢えてそれを隠して……
「あら。そうとは限らないんじゃない? 案外莉那ちゃんも君を好きだったりしてね」
「そ、そうでしょうか? 莉那先輩に、そういう素振りがあるんですか?」
主任が思わせぶりな事を言うので、つい俺は興奮した声を出してしまった。しかし……
「別にそういう事はないけどね」
の言葉に、ガクッと俺は肩を落とした。いわゆる“ぬか喜び”ってやつだ。