最後の願い 〜モテ男を惑わす地味女の秘密〜
「どこ行ってたのよ?」
「どこって、飯ですけど……」
莉那先輩は険しい顔で、責めるような口調で俺に言った。こんな莉那先輩は珍しい。何かあったのだろうか。
「ちょっと来て!」
「あ、はい……」
俺は莉那先輩に腕を掴まれ、引っ張られながら今戻ったばかりの職場を出た。
「恭子が会社を休んでるのよ」
なんだ、その事か……
「知ってます」
「携帯に掛けても出ないの」
「ああ……またバッグに入れっぱなしで気づかないんだと思います」
「あら、詳しいのね?」
「そりゃあ、まあ……」
1ヶ月以上付き合ってますからね。
恭子さんはいつも携帯をマナーモードにしていて、しかもバッグに入れっぱなしにするから、着信があっても気づかない事が多いんだ。
「会社には体調不良って届けてるそうだけど、心配だわ……。恭子のお母さんに電話してみようかしら」
「え? その必要はないですよ」
「なんでよ? あなた、恭子が心配じゃないの?」
「心配ですよ、もちろん。でも、お母さんに聞いてもわからないと思います」
「どうして?」
「だって、恭子さんはまだ俺んちにいると思うんで……」