どす黒い涙は世界を救わない

最初はしくしくと四十を超えた中年が泣いているのを何処かで客観的に笑えていたのだが、涙が、Tシャツを濡らしているのを見てしまい少しずつ激しく泣いてしまった。


夏は終わったのだと思えた。


分かっていたが、夏は終わったのだと。


分かりきっていたのに。


もうTシャツの季節ではないのだと。


そう思うと様々な悲しみが込み上げてきた。


悲しみの原因は様々な物に変わり僕を戸惑わせた。


僕はフェンスを掴んで揺すりながら叫ぶように泣いた。


女のどす黒い涙と、僕の涙に何の違いもないだろうが、僕は、自分勝手なのだ。


僕は、女の涙が、とてもどす黒い物だったような気になっていた。


どす黒い涙は、世界を救わないだろうし逆に汚すだろうと思えた。


では、お前の涙は問われても僕には答えはなかった。


今夜は謎が多い日だった。


もう朝だが謎が多い日だった。












おわり
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