とけていく…
十七.
 年が明けた。今年は病室でささやかに三人で新年を祝い、涼はまた練習を繰り返していた。そして、刻々とコンクールが近づいてくる。正樹も、完全に仕上げてきているはずだ。涼も負ける訳にはいかない。

(自分を信じて、進むだけだ)

 正月のおめでたい雰囲気もなくなり、街が通常通り動き始めてから約3ヶ月。練習、病院の繰り返しの日々を繰り返していた涼に、そろそろ終わりを迎えていた。

「だいぶ仕上がってきたわね。これの調子で、明日、実力が出るといいわね」

 真由美がコーヒーを一口飲んだあと、そう満足そうに言った。

「はい」

 涼は素直に返事をすると、不意に窓の外に視線をやった。晴れた日の日中は暖かな光が差すようになったのだが、曇りの日には、まだまだ冷たい風が吹きすさんでいる。

「最後まで、体調管理もしっかりね」

「はい」

 楽譜をかばんにしまい、彼は帰り支度を始めた。

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