とけていく…
 そして、一通り絶叫系を堪能したあと、紫はベンチで伸びていた。

 見兼ねた涼は、自販機で買った冷たい缶ジュースを差し出し、隣に座る。

「あ… ありがと…」

 それを受け取ると、紫は栓を開けて、飲み始めた。

「大丈夫? お前、全然絶叫系ダメなのな。」

 彼は「ハハハっ」と大きく笑った後、烏龍茶の缶に口つけた。

「あたしは涼がそんなに絶叫系に強いなんて思ってもなかったわよ…」

 手で顔を仰ぎながら、紫は力なくそう答えた。

「姉ちゃんが生きてた頃、鍛えられたからな、俺は。」

「ふ〜ん…」

 前方に見えるメリーゴーランドには、たくさんの客が馬にまたがり、回って
いた。楽しそうな笑顔を浮かべている彼らを、手を振りながら写真を撮るその人々を何となく眺めていた紫は、そのままの姿勢で涼の顔を見つめていた。

「涼は、変わったね」

「あ? そう?」

 突然そんなことを言い出す紫に、彼は目を点にしてびっくりしていた。

「お姉さんが亡くなる前の目に戻った。」

 ニコッと微笑む紫。そんな彼女の顔をまじまじと見つめていると、紫は再び口を開いた。

< 49 / 213 >

この作品をシェア

pagetop