とけていく…
 涼は、洗濯をしている間に、掛け布団と枕をベランダに干し、布団叩きで埃を落とす。煙のように出てくる埃に顔をしかめながら、力いっぱいパンパン叩いていた。その時、リビングにある電話が久しぶりの着信を知らせていた。彼は布団叩きを持ったまま部屋に戻り、電話に出た。

「はい、鳥海ですけどー…」

『涼か…? 私だよ。』

 電話の相手の声を聞いた時、涼は目を丸くした。彼にとって思いがけない相手からの電話だったのだ。

「なんだよ、急に… 元気?」

 涼は、久しぶりに聞く父親の声に懐かしさを覚えていた。

『相変わらず忙しいけど、何とかな。お前は? ちゃんと飯食ってるか?』

「まぁね。で、どうしたの?」

『うむ… 実は、帰国することになった。また一緒に暮らしたいと思ってな。』

「へ〜…」

 涼は、今までの生活を思い返してみた。羽を伸ばして遊び呆けているわけではないが、落ち込むことばかりだが、わりと一人の生活を気に入っていた。今更、また一緒に住むとなると…、と暗雲が立ち込める。

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