202号室の、お兄さん☆【完】

岳リンさんは180センチも無く、ドラガンさんは190センチぐらいありそうです。
ですが、岳リンさんは負けじと睨みつけ、私を背にかばった。


「フーン。本当にデートだッタのネー?」

元から戦意などないドラガンさんは、岳リンさんを上から下まで見つつ、一人納得していた。


「じゃあ、撫子、また会おうネー」

あっさりと引いたドラガンさんに、岳リンさんが微かにホッとしたのか息を吐いた。


「あ、あの」

「お前、トロそうだから変なのに声かけらるんだよ」

苛々した様子の岳リンさんは、私を睨みつける。


……岳リンさんの勝手な勘違いだけど、助けてもらった事になるのかな?
お礼、言わなければ……。


そう思いながらも、岳リンさんの冷たい視線が怖くて、身動きが取れなかった。


「……何?」

訝しげに私を見る、岳リンさんに、私は早速作戦通りの言葉を言う。


「で、デートって初めてだから、緊張しちゃって……」

「はぁ?」
< 113 / 574 >

この作品をシェア

pagetop