202号室の、お兄さん☆【完】

それは、私を想っての岳理さんの優しさ。

私だって、岳理さんの優しい所は誰より知っている、つもりです。

でも、この雰囲気はとても、居心地が悪いです。

――うまく、息が吸えなくて苦しい……。


い、いつもの岳理さんの方が、まだ安心できるのに……。


「う、うろ覚えですが、『温室に咲く花は、冷たい雨を知らない』みたいな歌詞があるんです」

こんな綺麗な温室に居れば、確かに冷たい雨は知らないかもしれない。

「けれど、お兄さんは違うと思います。冷たい雨に弱って、温室に逃げ込んだだけで、だから」

だから、


「もう温室から出ても、大丈夫だと思うんです」


そう言った後、この息苦しい雰囲気を壊したくて携帯を取り出した。

「アルジャジーノンに見せたいので、写真を撮って良いですか?」

まだ、岳理さんは何か言いたそうでしたが、不機嫌そうに頷いてくれました。


だから、私も気を取り直して写メに集中します!!



「1つだけ」
「えっ」

素早く隣に来られ、身構える隙も無く、顔を近づけられた。



「否定しないでまず受け止めるみかどの考え方、結構救われた」


俺だけが知る、あんたの良い所かもな。


そう、耳元で囁かれました。
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