202号室の、お兄さん☆【完】

公園内は平日だから人は少なかったのに、サボテンの所は、旅行客や年配の方がいっぱい居ました。


お兄さんは不自然に背中を掻きつつ歩き回っています。

そして突然立ち止まり驚いた顔をして私を見ました。
「みかどちゃん!!!!」
「は、はい!!」


「これ、アルジャーノンですよね!?」

「えぇ!?」

見ると、ひ、130歳のアルジャーノンが居ました。
サボテンの王様とまで書かれています!


私も驚きましたが、……目を輝かせているお兄さんも可愛らしいです。


お兄さんも、私も、
家族ではこんな所、来た事無いですからね。


だから、今こうして、
一緒にびっくりしたり、
一緒に笑ったり、

それはとても大事で大切な時間なのかもしれません。



「みかどちゃん、『サボテン狩り工房』だって!」


温室に入ると、花壇に綺麗に植えられたサボテンがいっぱい並んで居ました。

どうやら、箸で自分たちで取り、買える場所みたいです。



「荷物になるから、お昼ご飯を食べてから買いにきましょうか」

「そうですね。アルジャーノンのお友達を持って帰れますね」

私とお兄さんは、どの子にするか吟味したのち、お昼ご飯へ行く事にしました。
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