202号室の、お兄さん☆【完】
「あ、明太子パスタになります……」
私がお皿を置くと、金髪の人は目を細めて、微笑んだ。

……ただ、それだけなのに照れてしまう。

「あ、あのっ」

せめて、挨拶だけでもしなければっ

「201号室に引っ越しました、楠木みかどと申します」

私が深々と頭を下げ、再び2人を見ると、とても驚いた顔をしていました。

「あ、の……?」

「「どうして、君みたいな可愛い子が、あんなボロアパートに?」」
美しくハモる2人は顔を見合わせ、そして、段々と瞳を輝かせて喜んでくれました。


「お婆さんの趣味で、イケメンだけしか入居できないと思ってたんだ」
「若い女の子が入居なんて、華やかになるなぁ」

2人は、名残惜しげに猫を下ろし、ご飯を食べ始めました。

「ふふっ 君と出会えた喜びは、食事の後で良い? ちょっと俺たち、腹ぺこでさ」

「是非とも、デザートを一緒に食そう。ご馳走させてくれ」

そ、そんな。
笑顔の安売りと言わんばかりに、天使のような笑顔を絶やさない2人。

ドキドキして、目が離せないです。


「ご、ごゆるりされておくんなまし!!!」

焦って、怪しい日本語を発しながり、私は逃げるように店内へ戻りました。

び、びっくりしたぁ。
< 47 / 574 >

この作品をシェア

pagetop