202号室の、お兄さん☆【完】

「き、却下です!! 却下却下きゃーっっかぁぁ!!」

「――昨日さぁ」

岳理さんが素知らぬ顔で納豆を混ぜながら言いました。


「トイレに起きたついでに、みかどの寝顔を見に行ったんだけど……」

「ね! か、勝手に見ないで下さいよ!!」


「寝言が」

トロッと納豆を箸で持ち上げながら、もったいぶって言います。


「『お兄さん』だった」

ひ、ひいい!!

ち、ちょっぴりご機嫌ななめみたいです。


「寝言と今さっきので、既に2回ね」
「えっ」

「何回言ってもいい。
むしろ 言 え !」

う、うわぁぁぁぁん!!

岳理さんが意地悪ですっ!!


「何しとんじゃ?」

ドラガンさんが、お兄さんからの預かり娘たちを引き連れて部屋に入って来ました。


「ドラガンさんっ 岳理さんが!!!」

が、ドラガンさんは岳理さんの納豆を見ると、顔を真っ青にして、襖を閉めて逃走してしまいました。


「ど、ドラガンさん! カームバック!!!」

「発音が違うが、すまぬ!!!!!!」

さすが英会話教師。
発音の指摘をしつつ、ドタバタと消えて行きました。


「あいつ、イタリア人なのに英会話教師?」

岳理さんは一人マイペースに首を傾げました。
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