202号室の、お兄さん☆【完】
「トールさん?」

「ハーイ♪ 透でーす」
トールさんは、長い茶髪の髪を取り、切れ長の目をウインクさせた。

綺麗だと思っていたけれど、いざ女装されると、私なんかと比べられない程に美しいです。


「――鳴海とは、道ならぬ恋だけど、真剣なの」
トールさんが憂いを込めた瞳に涙を溜めて訴えていた。

「そ、そそそうだったのですね!」
「そんな訳ありません! もうっ炒飯できるまで静かに待ってて下さい!」

私はお兄さんに腕を掴まれ、引きずられる様に、キッチンへ連れて行かれてしまいました。

トールさんは、余裕綽々で優雅に手を振ってくれてました。

「すみませんね。透さんは冗談が好きなので、気にしないで下さいね」
「えっ はい。で、も、あの、」
「?」

私は掴まれている、腕を見た。
「……腕が痛いです」


「す、すいません!!」

慌ててお兄さんは腕を放すと、頭を掻いて、申し訳なさそうに謝った。


「…………」
「…………」

何故か短い沈黙ができてしまったので、私はお冷やのボトルを掴んだ。


「お、お水のお代わり見てきますね」
「あ、お願いします」

そう言うと、お兄さんも腕捲りしてキッチンへ入って行った。
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