キミ、カミ、ヒコーキ

☆4

【NOBUKO】

「ちょっ、あんた何やってんだ!」

あたしはとっさに濱村の腕を掴み、後ろへ引き寄せた。濱村は相変わらずへらへら笑っていて、夕焼けに照らされた黒髪が一段と綺麗に見えた。

あたしはおそるおそる校庭を覗いた。そしてすぐに座り込み、安堵の息を漏らした。部活中の男子が数名、こちらを見上げているだけで、大した事態にはならなかったみたいだ。


「アハハハ、見て見てすっごい空がミカン色」


濱村は、そのまま大の字に寝転がり空を指差して笑う。あんなにイライラしていたあたしの怒りボルテージを容易くゼロにしてしまう(こいつは調子を乱す天才だ)。


濱村の言う通り、空は鮮やかなミカン色に染まっていた。白かったはずの雲も、ビルも自分すらもこの色に染め上げられてしまいそうなくらい。


あたしも少し距離を置いて横になり、空を眺めてみた。
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