キミ、カミ、ヒコーキ
「あんた……変な奴だね」


「のぶちゃんも変だよぉ。なんでいつも一人なの?」


「あんたには関係ない。一人が好きなんだ」


「アハハハ」

「なんだよ」

濱村は手に持っていたウサギをあたしに突き出した。

ハート型の瞳。

あたしはすぐに目をそらした。


「ラブットちゃんはなんでもお見通しなんです」

「は?」

「のぶちゃん、嘘ついてるってラブットちゃんが教えてくれたの」

濱村はウサギにあいづちを求めるように話かけ、それに合わせるようにタイミングよくウサギの首を傾けた。


「人形が喋れるわけねぇだろが」

濱村は少し間を置いて数秒宙を見つめた後、ウサギの腹話術を始めた。

「ノブチャンノブチャン。ワタシラブットチャン」

「……なんでウサギがカタコトなんだよ」

あたしはウサギが死角になるように空の一点だけを、ただただ見つめた。
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