キミ、カミ、ヒコーキ
「……のぶちゃんのぶちゃん私ラブットちゃん」

「はいはいどーも」

「のぶちゃん私とお友達になってください」

「嫌です」

「のぶちゃんのぶちゃん」

「なんだようるせーなあ」

「私とお友達になってください。いかソーメンあげるから」

「お前あたしをいかソーメンで買収する気かよ」

濱村の操るウサギが何も言わなくなった。あたしはちょっと気になってしまい横を振り向くと、濱村が顔を真っ赤にして笑っていた。


「んだよあんた」

「くくっ……ぶふっ」


それはいつものアホみたいな笑い方と違って、息を殺したような特殊な笑い方だった。

「あ、あたしね、ぶふっ、本当に楽しくて笑い出すと、ぶふふっ、声が出なくなっちゃうの! くふふっ……っすっっ……」

耳まで真っ赤になっている。そんなにボキャブラリーのある事を言ったつもりは無い。こいつのツボがいまいち分からない。


「あー、ちょっと落ち着いてきた。あーお腹痛かったあ―アハハハ」


「……ほんとめでたい奴だよな。一日中笑っててさ」

「ならのぶちゃんも笑えばいいじゃない」

濱村はクシャクシャになった自分の髪を手ぐしでかきあげながら続けた。


「あのね、女の子って笑顔が一番かわいいんだよ」
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