キミ、カミ、ヒコーキ
太陽が高く昇ってくる頃、奥さんがあたしの名前を呼んだ。


「信子ちゃーん。もうすぐでお姉さん迎えに来るみたいだから。そろそろ手を洗っちゃいなさいな」

「はーい」


あたしとガキ共は声を合わせて大きく返事をした。



「おい信子!」

生意気そうなガキが鼻をかきながらあたしに近づいてきた。


「んだよ」

「また……遊んでやってもいーぞ」


「アホが。今度はどろけい負けねえからな」


手を洗い終わり、裏口のイスに腰をかけた。この場所はいい風が吹き抜ける。屋上といい勝負だ。

ぼーっとしていると、奥さんが麦茶と焼き鳥をごちそうしてくれた。本日のメニューはあたしの好きなと白ハツと、特製ねぎま(モモの代わりにつくねが挟まれている)だ




「あっ、おねーちゃん!」

アホそうなガキが声を張り上げて戸口を指差した。


水玉がおぼつかない足を走らせ、『おねーちゃん』に駆け寄った。



まさに日本は狭い。

狭すぎる。



「あー!!!! のぶちゃーん」


「まじかよ……」




水玉のガキを抱きかかえ戸口に立っていたのは、汗だくの濱村だった。
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