ありがとうのその前に


目が覚めると保健室


『大丈夫?』


ベッドの横には松井くん。



…松井くん?!


『え?なんでここに?』


松井くんはクラスメイトで今までそんな仲いいわけでもない。なぜ?



あたしの頭に無数の?マークが飛び交っていると松井くんが口を開いた


『俺、保健委員だから』


あぁ、保健委員だからか…


普通に納得してしまった



『山崎…なんかあったの?』



保健室独特の消毒液の匂いがする


『な…なにかって?』


『いや…考え事してたみたいだったから』



松井くんは大人っぽい子でとても綺麗な顔をしている。いつも落ち着いていて勉強もできて生徒会役員らしい。ファンも多い


って結衣が昔言ってたなぁ



なんてことを思い出していた



『山崎?』


『えッごめん!大丈夫だから』

松井くんの真っ直ぐな瞳に飲み込まれそうだ


すると松井くんは、フッと笑って

『ならいいんだ。』


と言った。急に見せる松井くんの大人っぽい微笑みにドキドキしてしまった



『もし何か悩みあったら連絡して?』



あたしの手に握らされたのは小さな紙


中には携帯のアドレスと電話番号



戸惑っているとまた松井くんは優しく微笑んで保健室から出て行った



生徒会役員のせいかお兄さんみたいなイメージがあって、なんでも相談できそうな感じがした


きっとみんなに優しいんだろうな。さすが松井くん♪


なんとなく松井くんは信じられる気がした


直感だけどね。



< 56 / 219 >

この作品をシェア

pagetop