愛しい太陽
『…やめるんだ、ヒナ』
『…そんな簡単じゃないんです』
『君なら恋人も…』
『…長く続きませんでした』

陽菜はアズィールと目を合わせようとしない。その目は虚ろに見えて、苛立ちとも悲しみとも取れない感情を呼び起こす。そうして沸き上がったのは庇護欲だ。傍で守りたいと…陽菜を包みたいと感じてすぐ、胸に引き付けた。抵抗されても許さず、ただ抱き締める。

『…ヒナ…私に愛されてみるか?』
『な、何を…』
『私が愛してやる…』

陽菜を腕に抱き上げて、また主寝室へ向かった。中央に降ろして覆い被さると、顔を背けられた。

『…キスは…しないで』
『…わかった』

アズィールは脳内に描いていた陽菜への愛撫に夢中になっていた。女を抱くに愛撫など考えた事もないが、陽菜は触れればあえかに悶え、必死に縋り付いて来る。欲情を恐ろしいと感じたのも初めてだ。時間をかけて溶けていく陽菜を見たくもあるが、すぐに繋がりたいとも思える。一糸纏わぬ姿は、アズィールから余裕を奪う。手荒くなりそうな自身を抑えながら、素肌で接した陽菜は、アズィールをただの雄に変えた。

『っ、ふ…』
『ヒナ…もっとだ、もっと乱れてしまえ』

一寸たりとも離れたくなくて、断りもせず陽菜の中で果てた。だが雄は収まりもしない。陽菜に求められると収まるどころか、煽られて情欲の焔は激しく燃え盛るばかりだった――。

幾度果てたか、もう覚えがない。この行為でここまで疲弊したのは初めてだ。陽菜もすっかり疲れた様子で、アズィールの腕で寝息を立てている。このままでいたい…そう強く思ったアズィールは、事後のまま…陽菜を抱き寄せて瞼を閉じる
ふと日本に来てから使っていないはずの自身の香を強く感じた。陽菜には甘い花の香りもいいが、やはり柑橘のような爽やかな甘さがいい…とろとろと溢れ始めた眠気に身を任せながら、アズィールは深く眠りついた――。
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