Lost voice Ⅱ‐キミ ノ オト‐
始めは驚いた顔をしていたけど、やがてそんな暁くんを見てさらにニヤニヤとした笑みを浮かべた。
「へぇ、なるほど、これは…。面白いな」
睨み合う暁くんと龍さんの間に、バチバチと火花が飛び散る。
ど、どうしよう…。
ところが、緊迫した状態をどうにかしなきゃ、と思っていたのは私だけではなかった。
「あ、諦めろよ龍!俺たちはデビューすんだからな!お前が今さら戻りたいっつったっておせぇんだよ!!」
優兄が、捲し立てるように叫んだ。
「…なに?お前らが?デビュー?」
それを聞いた龍さんの目の色が変わる。
「柚が…っ―――いてっ」
さらに口走ろうとした優兄を、普段ののんびりペースからは想像もつかないほどの高速で、李織さんが頭をぶっ叩く。
「…黙れバカ。」
「な…っバカだと!?俺は…っいてぇっ」
今度は愁生さんがぶっ叩いた。
「なるほどな。お前らがデビューかよ。あんなへったくそな演奏で?」
龍さんが声をたてて笑うと、静かな暁くんの声が威圧的に響いた。
「お前が抜けてくれて良かったよ。俺たちは、変わったんだ。お前のいたRainはもうどこにもない。柚を加えたこれが、Rainだ。」
暁くん…。
「わかったら帰れ。二度とここへは来るな。お前は部外者だ」
「…っ。そうかよ、つっまんねぇな。二度と来ねぇよこんなとこ。邪魔したな」
悔しそうに顔を歪めた龍さんはそう吐き捨てると、近場の椅子を蹴りあげてリコールを出ていった。