ラブバトル・トリプルトラブル
 「簡単に説明しますね。上の欄に場所な日時主審など解る範囲で書き込むの」

そう言いながらも目は試合に向いていた。


「左側に選手の名前。これも解る範囲でね。番号だけでも良いと思うわ」


「番号?」


「ホラ、ピッチャーが何番とか決まっているでしょう? あの番号よ」


「ごめんなさい。今は試合に集中して。悪いけど又後で教えてね」

美紀の気遣いを察知した彼女は頷いた。




 秀樹はさっきまで悩んでいたことが嘘のように晴れていた。
カーブでストライクが決まって有頂天になってしまったのだ。


でも二番バッターでプレッシャーを掛けられる。
それはフェアプレーとは程遠い高校球児らしからぬ攻撃パターンだった。


バッターは打席に入り投球を待つ振りをしていた。
勢い付いた秀樹は絶好調のツーシームを投げた。


「ボール」
主審の声が響く。

秀樹は首を傾げた。
何故だか判らないのだ。

バッターはバットを下ろして打席を外すように後ろに下がっていたのだ。


結局、秀樹はバッターにフォアボールを与えていた。


次のバッターも最悪だった。
打席を外すと見せ掛けて、ボークを誘ったのだ。
結局ボロボロになった秀樹は一回裏に三点を献上してしまったのだった。




 ボーク。
ピッチャーがバッターに対し投球動作を起こしたら、その動きを途中で止めたり変更することは出来ない。

ランナーがスタートを切ったからと言っても宣告される。

判断が難しいケースもあるが、厳しいジャッチをしても良いとされている。


セットポジションに入ったピッチャーが、投球前に身体の前でボールをキープしたら完全に静止しなければなない。

この時、ランナーを確認するために動かしても良いのは首から上だけ。

上半身を捻って肩が動いた場合はボークになる。

牽制球を投げるには、上半身を含む身体全体を塁の方向同時かステップした後に動かさなければいけない。




 ボークとはセットポジションに入ったピッチャーが、投球前に身体の動作で決まるのだ。

主な物は、投球動作の中止や変更。

肩が動く。

塁方向に足を踏み出さない。

静止せずに投球。

ボールを落とす。

バッターが構える前に投げる。

グラブの中でボールを持ち直し腕や肩が動く、、

プレートに触れていない状況での投球。

などが上げられる。

ボークは守備チームのピッチャーにとって、常に気を配らなくてはならない重要案件だったのだ。
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