好きだったよ、ずっと。【完】
あんなに春夜が好きだったのに、今このオトコに揺れ始めてる…。



わたしの頭ん中は、春夜と璃香のお姫様抱っこのsceneで、そこからエッチな方向に持っていき今、二人がそういうことをしてるんじゃないかって、自分で自分を苦しめている。



あんな大勢がいる場所では、絶対ありえないことなのに…。



「そう。最近俺も知った場所で、通い始めたんだけど、夫婦でやってんだ」



「へぇ…。どうしようかな…」



聡の声に、現実に戻されBarに行くかどうか悩み始めた。



「ちなみにオトコの方は、チョーが付くほどのイケメンで……」



「うん、行く」



聡の言葉を最後まで聞かず、即答した。



「お前なぁ…」



聡の呆れ顔を見て、わたしはプッと吹き出した。



「あ、やっと笑ったな」



ほんと、聡は優しいオトコだ。



嫉妬でいっぱいだった、わたしの心を晴らしてくれるんだから。



「ありがと、聡」



「いいえ、どういたしまして。んじゃまぁ、行きますか」



そう言ってタクシーを拾い、連れて来られた場所。



「ナ…、ピュレ…?」



看板には、そう書いてあった。



「そう、ナピュレ。変わってんだろ?でも、すっげぇイイ店だから」



そう言うと、聡はわたしの手を握り扉を開け中に入って行った。
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