好きだったよ、ずっと。【完】
「んっ…、んんっ…」



両手で押そうとするも、離れてはくれなくて仕方なく抵抗を止めると、それに気付いたのかスルリと舌が入ってきて、わたしの思考を止めた。



春夜と付き合ってるのに…、こんなことダメなのに…。



頭では分かってるのに、聡に優しくされると気持ちが乱れる。



チュッとリップ音を立てわたしから離れると、タイミングよくポーンと音が鳴り、エレベーターの扉が開いた。



「なにしてんの。行くぞ」



また腕を掴まれ、外へ出る扉を開き二人で外に出る。



掴まれた腕が熱くて、そこから全身まで急ピッチに熱が帯びてくる。



帰らなきゃ、この腕を振りほどかなきゃ、と思うのにそれができない。



春夜、ごめん…。



わたし、相当弱ってるかもしれない…。



「このままホテルに連れ込みたいけど、やっぱ俺彼女以外の女は抱けないから、Bar行かないか?」



「え、Bar…?」



突然、聡が立ち止りそう言ってきた。



安心したような、悲しいような、変な気持ちが交わる。



わたし、サイテーなオンナだ。
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