好きだったよ、ずっと。【完】
風呂から上がると、朱里はベッドに横になってて。



「朱里、風呂は?」



「…うん」



さっきまでの朱里は、いなかった。



「木ノ瀬のこと、考えてんだろ」



「そっ、んなこと…」



バレバレなんだよ、顔に出過ぎ。



「木ノ瀬のこと、好きなんだろ?」



「…好き、じゃないもん…」



「絶対か?絶対、好きじゃないって言えんのか?」



「それは…」



「言えないだろ?もっと自分に素直になれよ」



俺がそう言えば、朱里の顔がどんどん歪んでいき。



「……っ、……うぅ…、わぁぁぁあああ!!」



両手を顔にあて、泣きだした。



今まで我慢してきたんだろう。



それは叫ぶような泣き方だった。
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