好きだったよ、ずっと。【完】
ずっと10年も言えなかったのに、今更好きだなんて言えない。



それに、春夜はわたしのことなんか…。



昨日の夜、言われた言葉たちが頭を駆け巡る。



「朱里…、また泣いてんの?」



「え…?」



ぐっすり寝ていたと思っていた聡は、いつの間にか起きていて、わたしの頬に手を伸ばしスッと流れた涙を掬ってくれた。



「ホント、昨日から鳴いたり、泣いたり忙しい奴だな」



「ちょっ、ちょっと!!どういう意味よ!!」



もう、そうやってふざけて!



「ん?昨日俺の指で鳴いたろ?」



「……っ!!」



言葉にされると、恥ずかしいっ!!



顔が熱くなるのが分かった。
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