sweet wolf





あたしは美里を知っている。

だけど、あたしの目の前にいる女の子とは似ても似つかない。

あたしの知っている美里は、色白で細くて病気がちで。

いつも男の子からいじめられていた。

……同じニオイがした。






「たくましくなったね、美里」




そう言うと、




「杏奈に言われたくない」




いたずらそうに笑う。



その楽しそうな笑顔は、やっぱり記憶の奥底に眠る美里のものと同じだった。



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