sweet wolf




「陸斗!!

ここは素直に杏ちゃんに謝りなよ!

君たち、正直酷いよ」




陸斗と呼ばれたメッシュは、顔をしかめ、口をつぐみ、直樹を見る。




「それに杏ちゃんも!

仲間と分かったのに、今さら喧嘩売らないよ」



「何が仲間だ。

謝る気もないくせに」




そっぽを向くあたし。

あたしが受けた屈辱、一生忘れないからな!




だけど、さらなる言葉があたしを正気にさせた。





「今日呼ばれたのは、狼の幹部。

狼の下っ端まで集めると、百人近くもいるんだよ?

クラスにも、まだ狼はいるかもしれない」



「はぁ!?」




あたしは素っ頓狂な声を上げていた。





「狼も、そうでない人間も、こぞってあたしをいじめてたってことか」




……いや、そうじゃない。




「そもそも、あたしに対するいじめは、春樹が主犯格だから」




思わず声に出してしまう。

すると、




「ふざけてんのか、てめぇ」




陸斗が再び声を荒げた。




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