sweet wolf
「おい、杏」
蓮があたしを呼ぶ。
「何だよ」
震えを必死に抑え、口をきゅっと結んで蓮を見る。
これ以上、弱い姿を見せられない!
だが、見上げた蓮はびっくりするほど優しい顔をしていて。
胸がきゅぅと甘い悲鳴を放つ。
やっぱりあたしの身体はおかしい!
まるでもう一人の自分がいて、あたしの中をめちゃくちゃにかき回しているみたいだ。
きっとあたしの顔は真っ赤だろう。
蓮に見せられないほど。
なのに、蓮はそんなことどうでもいいらしい。
「無理すんなよ」
そう言ってあたしの頭をわしゃわしゃと撫でた。
さらに顔に血が上るあたし。
それと同時に胸がずきんと痛み、目頭が熱くなる。
蓮には分かってんだ。
あたしが虚勢張ってんの。