sweet wolf








「大丈夫か?」




屋上庭園に着くなり、蓮があたしに言う。




「う……うんっ!

全然!!」




これ以上弱いあたしを見せられないと思い、元気に振る舞うあたし。





「……ってかさぁ!

蓮、超怖いんだけど。

あたしマジでびっくりした!!」





馬鹿にしようとしたのに。

笑い飛ばそうとしたのに。

なぜか震えが止まらない。

蓮と二人きりになった途端、言い表せないような恐怖が押し寄せてきた。





あたしは狼になった。

狼はあたしを守ってくれるようだった。

でも、結局は何も変わらない。

あからさまないじめはなくなったけど、あたしは嫌われ者のままで。

さらに、狼にも楯突くような男が現れた。

狼の言いなりにならないのは、蓮だけだと思っていたのに。

あの男……本当に冷たい瞳をしていた。

もし、蓮が現れなかったら……




< 135 / 312 >

この作品をシェア

pagetop