sweet wolf




男は美里があけた道の真ん中を、ゆっくりと歩く。

そして、美里の隣に来た時に、わざとらしく舌打ちをした。

チッ……と。




その舌打ちを聞いた時、あたしの中で何かが弾け飛んだ。







「ちょっと。

あんた、ひどくない?」




制御の効かないあたしは、アッシュに向かって声を張り上げていた。

背が高く、バカにするようにあたしを睨み下ろすアッシュ。

その迫力だけでも相当なものだ。

だけど、あたしは負けない。





「この道は、あんたのためにあるわけじゃない。

人が道の真ん中にいたら、あんたは通れないの?

たかが高校生の分際で、何様のつもり?」





< 14 / 312 >

この作品をシェア

pagetop