sweet wolf
男は美里があけた道の真ん中を、ゆっくりと歩く。
そして、美里の隣に来た時に、わざとらしく舌打ちをした。
チッ……と。
その舌打ちを聞いた時、あたしの中で何かが弾け飛んだ。
「ちょっと。
あんた、ひどくない?」
制御の効かないあたしは、アッシュに向かって声を張り上げていた。
背が高く、バカにするようにあたしを睨み下ろすアッシュ。
その迫力だけでも相当なものだ。
だけど、あたしは負けない。
「この道は、あんたのためにあるわけじゃない。
人が道の真ん中にいたら、あんたは通れないの?
たかが高校生の分際で、何様のつもり?」