sweet wolf








「杏ちゃんに会えるのは、今日で最後だね」




彼は少し悲しそうに言った。





「あたしね、きっとまた日本に戻ってくる」



「本当に?」



「本当に」





彼はあたしに手を差し出した。

柔らかくて、あたしより少し大きい手。

その手でいつもあたしを守ってくれた。




小指を絡ませ、指切りをする。

ほんのり彼の熱を感じる。




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