sweet wolf
「嘘ついたら……
針千本なんて飲ませられないや」
どこまでも優しい彼。
その笑顔を見たら、寂しくて悲しくて泣けてきた。
もう、泣かないって決めたのに。
強くなろうと思ったのに。
「杏ちゃんは泣き虫だな」
彼はそう言ってあたしの頭を撫でてくれる。
「あのね、杏ちゃん。
恋人同士って、呼びすてで呼ぶんだって。
だからさ、次会った時は杏ちゃんじゃないよね」
「え?
じゃあ、なんて呼ぶの?」
「……杏」