sweet wolf
反論するまでもなかった。
蓮の中では完全に予定が決まってしまったようで、あたしの手首を掴んだままスタスタと歩き出す。
「蓮、ちょっと!?」
鼓動は速いわ、身体は熱いわで、完全に取り乱しているあたし。
半ば蓮に引っ張られるようにして歩き出した。
はぁ……
これじゃ、すっかり蓮のペースだよ。
だけど、何だか心が熱くなって。
あれだけ逃げようと思っていたのに、蓮を前にすると逃げられないあたしがいた。
あたしの一歩先を歩く蓮は何だか上機嫌で……
かわいいとさえ思えた。