sweet wolf





「杏ちゃん」




あたしを呼ぶその声は、いつもの能天気な声とは違っていて。

低くて落ち着いていて、あたしの心を震わせる。





思わず直樹の顔を見たが、その瞳は悲しげに強く真っ直ぐあたしを見つめていた。




だけど、




「杏ちゃんって、大宮さんと付き合ってるの?」




その唐突な言葉に、ぽかーんと直樹を見た。



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