sweet wolf
あたしの教科書へ、横から手が伸びていた。
その手の先を追ったあたしの視線は、何と正統派直樹の顔へとたどり着いた。
「なに?」
口をへの字に曲げて直樹を見る。
余計なことをして。
こういうのをお節介と言うんだ。
だが、直樹は全く動じる気配もなく、
「授業進んでるよ。
栖本さん、分からないかと思って」
最もな答えを返しやがった。
あぁ……もう!!
いい奴だと思ったけど、やり過ぎにも程がある。
あたし、こういう模範生徒みたいな奴、苦手なんだよな。
あたしは直樹をひと睨みし、机に伏せた。
そして、眠りの世界へと落ちていった。