sweet wolf




あたしの周りから聞こえる、満足げな男子たちの声。

その、獣のような笑い声は、突如として絶叫へと変わった。





「え……」




涙に濡れた目をこする。


あたしの視界に映ったのは、拳を振り上げ、いじめっこを一掃する彼の姿。





「杏ちゃんを傷つける奴は、僕が許さない!!」






そんな彼を見て、初めて思った。



あたしも強くならなきゃ。

彼と釣り合うくらい、強くならなきゃ。







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