sweet wolf




「お姉ちゃん、どうして彼が分かったの?」




そう聞くと、




「彼のお兄さんと友達だから」




そう答える。

でかした、さすがあたしの姉!!





「……で、彼は何て名前?」



「忘れた」





忘れたはずもないのに。

もったいぶって、本当意地悪!!




お姉ちゃんを睨むが、彼女はびくともせず、ただ、ニヤニヤしてあたしの方を見てこう言った。






「運命の人は自分で見つけるのよ。

だけど……

なかなかのイケメンになってたわ」





イケメンか!!

ますますやる気が湧いてくる!!





あたしは奇声を発して階段を駆け上がった。

そして、鞄に付いているうさぎのぬいぐるみを握りしめた。

胸が熱くて、心臓が早くて。




待っててね。

もうすぐ会える。




自分にそう言い聞かせた。








彼に会ったらお礼を言おう。

そして、強くなったあたしを見てもらおう。

今のあたしなら、彼とまっすぐに向き合える。

そう思えたんだ。



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