sweet wolf
「ウザい」
「え?」
あたしの言葉に驚いて目を丸くする直樹を睨んだ。
精一杯の怒りを込めて。
「あんたたちはこれで満足なんでしょ?」
「栖本さん!?」
襲いかかる直樹の声に背を向け、あたしは教室を飛び出していた。
どんなことがあっても、負けないつもりでいた。
なのに、少しいたずらされただけで心が折れそうに感じた。
あの時のことを思い出してしまったから。
思っていたよりも、ずっとずっとあたしは弱い。
結局、強くなんてなれていないあたし。
あの子が見たら、笑うかな?