sweet wolf
「栖本さん!!」
不意に声がして、ビクッと身体を震わせる。
こんな愚かな姿、誰にも見せたくないと思った。
なのに……
「栖本さんっ!!」
再び声が聞こえ、肩を掴まれる。
冷たくなった制服の上から、温かい体温を感じる。
「何があったの!?
栖本さん、全然帰ってこないと思ったら!!」
あたしは馬鹿だ。
敵だと分かっているのに、すがってしまう。
助けを求めてしまう。
「直樹……」
あたしを見下ろす直樹の顔は、酷く歪んでいた。