☆マリッジ☆リングス☆
その晩は静かな夜で

夫婦はそれほど会話なく互いに距離をとりながら

「風呂・・・入ってくるわ~」

「はい・・・」

こんな会話しかない。

さゆりは最近、育児雑誌を熟読している。

「あーーーこれも欲しいわ~」産まれてくる我が子に

胸を弾ませる。

「もう・・・携帯~鳴ってるよ。」聡はまだ浴室で入浴中だった。

さゆりは聡の携帯はほとんどいじらない。

でも、携帯の着信くらいは教える

青は電話で・・・緑はメール

緑で点滅する携帯・・・

「ああっ・・・落ちちゃうよ。」テーブルに置かれた携帯が今にも落ちそうで・・・

さゆりは久々に聡の携帯を手に取った。

「何々・・・?」

何気なく携帯をみてしまうさゆり。

「メールね・・・」

さゆりは滅多に・・・いや・・・かつて夫のメールなどみたこともないのに

ついつい・・見てしまう。

そこに書かれていた内容に

さゆりは息をのんだ。

「何よ・・・コレ・・・」

そこには

まるで別人の聡がいた。

「なによ・・・」

さゆりはこの事実をしってしまってから

夫が憎くてしかたなく・・・

でも、産まれてくる我が子のために

このことは聡には言わなかった。

「どれどれ・・・今日は・・・?」

それから、さゆりは変な習慣を始めた。

夫婦の間でもご法度だとは思うが

毎晩・・・聡の隙をみては

携帯をチェックする。

「じゅり。この女ぁ・・・・」

さゆりはまだ見ぬ聡の女に

激しく嫉妬していった。

表向きは純情な妻であり母

そして、裏の顔

「なんでこんなことしてるんだ?わたし・・・」

さゆりはそう思いながらも携帯のチェックが止まらない。

聡はまったく気づいていなかった。

「そろそろ・・・だよね。」

「うん。」

夫婦はそんな和やかな会話なんかしている。

出産前にこんな夫婦の隠れた秘密

それでも、時は流れた。
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