二重人格三重唱
翔の心の中で、幾つもの人格が存在していた。
多重人格。いや元々翔は二重人格だったのだろう。
母親を愛する余り憎んでいたのだ。
そんな闇の部分に翼は憑依してしまったのだった。
翔は本当は優しい子供だった。
翼の痛みを自分の痛みとするような。
そんな中……
あのオルゴール事件が起こる。
自分の初恋の相手が、こともあろうに翼を好きになったのだ。
派手好きな母が、翔のために企画したバースデーパーティー。
誕生日の一緒の翼も形だけ出席していた。
そうしないと、翼を蔑ろにしていることがバレるから。
たったそれだけの理由だった。
その時……
クラスメートが翼に渡したオルゴール。
みんなが帰った後、直ぐに母に取り上げた。
翔の物にするために。
本当は欲しくもなかった。
壊れてしまえばいい。
そう思った。
でも……
その時翔の中に別な人格が現れる。
翼を憎む、あの柿の実事件を引き起こす人格が。
柿を盗った時……
快感を覚えた。
スリルを感じて興奮した。
でも怖くなった。
母に悲しい思いをさせてしまうと思って……
だから翼が叩かれているのを見て、助かったと思ったのだ。
その時、自分の罪で翼が裁かれるのを平気でみている自分に気付いた。
そして……
翼に対する優しさは消えていた。
母親の異常な行動で、翼との隔たりを感じた翔。
それ故に翼を心配した。
でもいくら頑張ったとしても、翼の成績にはかなわなかった。
有名私塾に通っている自分が、何もしていない翼に負けたのだ。
次第に翔は翼を憎むようになっていった。
そんな中に現れた別人格。
解離性同一性障害。
所謂多重人格の始まりだった。
翔は本来の自分では憎めない翼を、別な人格でこけおろしたのだった。
麻耶が感じた翔の優しさ。
それが本来の人格だった。
母親が翼を憎んだように、自分も憎まなければいけない。
母親思いの翔が出した答えだった。
だから……
別な人格に、その役を押し付けたのだった。
母親を愛するあまりに……
解離性同一性障害は普通、危害を加えられている人間が発症する。
でも翔はいたたまれなくなって、自傷したのだった。
翔は、本来はそれほどまでに優しい人物だったのだ。
多重人格。いや元々翔は二重人格だったのだろう。
母親を愛する余り憎んでいたのだ。
そんな闇の部分に翼は憑依してしまったのだった。
翔は本当は優しい子供だった。
翼の痛みを自分の痛みとするような。
そんな中……
あのオルゴール事件が起こる。
自分の初恋の相手が、こともあろうに翼を好きになったのだ。
派手好きな母が、翔のために企画したバースデーパーティー。
誕生日の一緒の翼も形だけ出席していた。
そうしないと、翼を蔑ろにしていることがバレるから。
たったそれだけの理由だった。
その時……
クラスメートが翼に渡したオルゴール。
みんなが帰った後、直ぐに母に取り上げた。
翔の物にするために。
本当は欲しくもなかった。
壊れてしまえばいい。
そう思った。
でも……
その時翔の中に別な人格が現れる。
翼を憎む、あの柿の実事件を引き起こす人格が。
柿を盗った時……
快感を覚えた。
スリルを感じて興奮した。
でも怖くなった。
母に悲しい思いをさせてしまうと思って……
だから翼が叩かれているのを見て、助かったと思ったのだ。
その時、自分の罪で翼が裁かれるのを平気でみている自分に気付いた。
そして……
翼に対する優しさは消えていた。
母親の異常な行動で、翼との隔たりを感じた翔。
それ故に翼を心配した。
でもいくら頑張ったとしても、翼の成績にはかなわなかった。
有名私塾に通っている自分が、何もしていない翼に負けたのだ。
次第に翔は翼を憎むようになっていった。
そんな中に現れた別人格。
解離性同一性障害。
所謂多重人格の始まりだった。
翔は本来の自分では憎めない翼を、別な人格でこけおろしたのだった。
麻耶が感じた翔の優しさ。
それが本来の人格だった。
母親が翼を憎んだように、自分も憎まなければいけない。
母親思いの翔が出した答えだった。
だから……
別な人格に、その役を押し付けたのだった。
母親を愛するあまりに……
解離性同一性障害は普通、危害を加えられている人間が発症する。
でも翔はいたたまれなくなって、自傷したのだった。
翔は、本来はそれほどまでに優しい人物だったのだ。