総長からの「愛してる」Ⅱ
「どうしたの?」
二人の後ろを歩いていた私は、二人が突然立ち止まった背中にぶつかる。
「……いや、前。」
「馬鹿じゃん、あんたら。」
昴の理不尽な馬鹿呼ばわりにムッとしながら、前を見る。
「あ………。」
「なにしてんの、お前ら」
目の前にいる、私以上にムッとしている男。
怒りとかより、不満そうなその声が静かな道に響く。
「廉也……。」
私の声に反応して、こっちに歩いてくる。
海斗はサッと自分だけ避け、昴も「馬鹿……」と呟いて私の前を退く。
必然的に視界を遮るものはなくなり、私だけ取り残された。