シュガーメロディ~冷たいキミへ~

「……水無月くん。私は、のん先生はもう水無月くんを拒絶していたころの先生に戻ったりはしないと思うよ」


あのころの先生が今とは全然違うのは、私が見ても分かるから。


私は私なりの理由で、先生が戻って来てくれるように頑張ったけど。

きっと、私よりずっと先生にとって支えになっていたのは、水無月くんの存在。

私なら、お母さんに強く拒絶されるなんてつらくてきっと耐えられない。

逃げずに傍にいた水無月くんは、本当にすごいと思う。

それはきっと、先生自身だってわかっていて。

だから、先生がもう一度ピアノに向き合うことを決めたのは、水無月くんのためだと思うんだ。


言葉でどう言おうと、先生にとって水無月くんは間違いなく、かけがえのない家族だったんだから。


「先生がつらいときにも、水無月くんが傍にいたから。

だから先生は、またピアノを受け入れられるようになったんじゃないかな」


そう言うと、水無月くんは少し驚いたような顔をした。

そして。


「……それでも先生には、傍にいてくれる大事な人がいるじゃないですか」


ぽつり、記憶をたどるようにして、唐突に水無月くんが呟いた。

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